うちの子、いつも口が開いている――親が知っておきたい口呼吸のサイン

本記事は非営利の学習用コンテンツです。人間の指示のもとAIが草稿を作成し、歯科医師が内容を確認・編集しています。

はじめに:「口を閉じて」と言うだけでは解決しない

テレビを見ているとき、寝ているとき、ぼーっとしているとき――お子さんの口が、いつも半開きになっていないだろうか。「お行儀が悪いから閉じなさい」と注意するだけで済ませてしまいがちなこの癖だが、実はその背景に「口呼吸」という、見過ごせない体の状態が隠れていることがある。

人間は本来、鼻で呼吸するようにできている。ところが、鼻づまり・アデノイド(のどの奥にあるリンパ組織)の肥大・口まわりの筋力不足などが原因で、口呼吸が習慣になってしまう子どもは珍しくない。そしてこの習慣、実は口の中から全身の発達にまで、広く影響することが最新の研究で分かってきている。今回は、保護者の視点から知っておきたいポイントを整理する。

チェックリスト:こんなサインに心当たりはないか

まず、お子さんの様子を振り返ってみてほしい。

  • テレビを見ているとき、口が開いたままになっている
  • 寝ているときにいびきをかく、または口を開けて寝ている
  • 朝起きたとき、口の中が乾いている・喉が痛いと言う
  • 食事中、くちゃくちゃと音を立てて噛んでいる
  • 鼻がよく詰まっている、アレルギー性鼻炎がある

いくつか当てはまるものがあれば、口呼吸が習慣化している可能性がある。次の章から、それぞれが体にどう影響するのかを見ていこう。


1. 虫歯・歯周病になりやすくなる

口が開いたままだと、唾液がどんどん蒸発してしまう。唾液には、口の中を洗い流し、酸を中和し、細菌の増殖を抑えるという大切な役割があるため、これが減ると虫歯や歯ぐきのトラブルが起きやすくなる。

2025年発表のシステマティックレビュー(Kimura et al., Int J Paediatr Dent, 2025; PMID: 40739849)は、口呼吸をしている子ども・青年は、そうでない子どもに比べて虫歯・歯周病の割合が有意に高いことを示している。睡眠中の無呼吸(閉塞性睡眠時無呼吸症)にともなう口呼吸も、口の乾燥や歯ぎしり、歯周病の悪化と関連することが確認されている(Maniaci et al., Biomedicines, 2024; PMCID: PMC11274061)。


2. 「噛む」「飲み込む」の発達にも影響する

口呼吸が続くと、口まわりの筋肉の使い方そのものが変わってしまう。Masutomiらの研究(Sci Rep, 2024; PMID: 38360938)では、口呼吸をしている青年は鼻呼吸の青年に比べて、唇を閉じる力・舌の力・噛む効率のすべてが有意に低下していることが確認されている。

また、口呼吸は「低位舌」(舌が正しい位置に収まらず下がっている状態)や、飲み込むときに舌を前歯の間に押し出してしまう「異常嚥下」とも高い確率で一緒に見られることが、メタ解析で明らかになっている(Gómez-González et al., Dent J, 2024; PMID: 38392225)。これらは発音や食べる機能の発達にも関わってくる部分だ。


3. 成長期だからこそ、歯並び・顔つきへの影響が大きい

子どもの口呼吸で特に気をつけたいのが、顎や顔の骨がまだ成長している時期への影響だ。

Feștilăらのレビュー(Children, 2025)によれば、口呼吸は上あごの発育不全・独特の顔つき(いわゆる「アデノイド顔貌」)・前歯が噛み合わない「開咬」・下顎の後退・口の中の天井が高くなる変化など、さまざまな歯並びの乱れの原因になりうる。

普段、舌は上あごに軽く触れることで、あごの横幅を自然に広げる圧力をかけている。ところが口呼吸によって舌の位置が下がると、この圧力が失われ、あご(歯列弓)が狭くなって歯並びが乱れやすくなる。すでに矯正治療をしている、あるいはこれから検討している場合も、口呼吸の原因そのものを解決し、口まわりの筋肉を鍛える訓練(MFT:口腔筋機能療法)を並行して行うことが、治療効果を高めるうえで重要とされている。


4. 「落ち着きがない」「集中できない」の背景にあることも

見落とされがちだが、口呼吸は学習面にも影を落とすことがある。口呼吸は睡眠時無呼吸と関連しやすく、睡眠の質が下がることで、日中の眠気や集中力の低下を招く。子どもでは、作業記憶(頭の中で一時的に情報を保つ力)・読解力・計算力の低下との関連も報告されている(Masutomi et al., 2024)。

「うちの子、最近集中力がないな」「落ち着きがないな」と感じたとき、その背景に口呼吸や睡眠の質の低下が隠れている可能性も、一つの視点として持っておいて損はない。


5. 大人になっても影響は続く

口呼吸の影響は、子どもの間だけの話ではない。成人でも、鼻で呼吸することで作られる一酸化窒素(NO)という物質が減ることで、血管を広げる働き・気道感染を防ぐ働き・血圧を調整する働きが弱まることが分かっている。睡眠時無呼吸に関連する口呼吸では、高血圧・心血管疾患・軽い認知機能の低下との関連も指摘されている。子どものうちに身についた口呼吸の癖が、そのまま大人になっても続いてしまうケースは少なくない。


まとめ:気づいたら、早めに相談を

口呼吸は、成長期の子どもにとって「そのうち治るだろう」で済ませてよい癖ではない。放置すると、次のような影響が連鎖しうる。

  • 唾液の減少 → 虫歯・歯周病のリスク上昇
  • 口まわりの筋力低下 → 噛む・飲み込む機能への影響
  • 顎の成長への影響 → 歯並び・顔つきの変化
  • 睡眠の質の低下 → 学習・集中力への影響
  • 一酸化窒素の減少 → 将来的な血管・心臓への負担

幸い、早めに気づいて対応すれば、多くは予防・改善が可能だ。鼻づまりがあれば耳鼻咽喉科へ、歯並びが気になれば小児歯科・矯正歯科へ相談し、必要に応じて口まわりの筋肉を鍛える訓練(MFT)を取り入れることが勧められる。「口が開いているのはお行儀の問題」と片付けず、体からの小さなサインとして捉えることが、お子さんの将来の健康を守る第一歩になる。


※引用論文のPMIDおよび統計数値は情報提供を目的としており、実際の原著と異なる場合があります。医療上のご判断はかかりつけの歯科医師にご相談ください。


参考文献

  1. Kimura ACRS, de Arruda JAA, Drumond VZ, Martins-Júnior PA, Mesquita RA, Abreu LG. Dental Caries and Periodontal Outcomes in Mouth-Breathing Children and Adolescents: A Systematic Review. Int J Paediatr Dent. 2025. PMID: 40739849
  2. Masutomi Y, Goto T, Ichikawa T. Mouth breathing reduces oral function in adolescence. Sci Rep. 2024;14:3810. PMID: 38360938
  3. Gómez-González C, González-Mosquera A, Alkhraisat MH, Anitua E. Mouth Breathing and Its Impact on Atypical Swallowing: A Systematic Review and Meta-Analysis. Dent J (Basel). 2024;12(2):21. PMID: 38392225
  4. Feștilă D, Ciobotaru CD, Suciu T, Olteanu CD, Ghergie M. Oral Breathing Effects on Malocclusions and Mandibular Posture: Complex Consequences on Dentofacial Development in Pediatric Orthodontics. Children. 2025;12:72. doi: 10.3390/children12010072
  5. Maniaci A, Lavalle S, Anzalone R, Lo Giudice A, Cocuzza S, Parisi FM, Torrisi F, Iannella G, Sireci F, Fadda G, Lentini M, Masiello E, La Via L. Oral Health Implications of Obstructive Sleep Apnea: A Literature Review. Biomedicines. 2024;12(7):1382. PMCID: PMC11274061

監修:髙橋弘樹(歯科医師・歯学博士)

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