模型の読み方

解剖学的メルクマール

①上顎模型

切歯乳頭、正中口蓋縫線、頬小帯、上顎結節、口蓋小窩、ハミュラーノッチ、上唇小帯、上顎起始の小筋束、アーライン、(ポストダム

ハミュラーノッチ:上顎結節と蝶形骨翼状突起内側板の翼突鈎の結節部に形成された切痕。上顎結節の後方で上顎義歯床の後縁設定の目安となる。

アーライン(Ah-line):口蓋の可動部と不動部との境界線。“アー(Ah)”と発音すると、口蓋帆張筋に続き口蓋帆挙筋が収縮するために軟口蓋は挙上する。発音を中止すると、これらは元に戻るが、アーラインはこの運動時における可動部の最前方を示していることから、上顎の義歯床後縁を設定するための基準として利用される。

ポストダム:上顎の義歯床口蓋後縁に辺縁封鎖を確実にするために設けられる堤状の突起。ポストダム形成には、機能印象時に該当部位を加圧形成する方法と、作業用模型の同部位を削除修正する方法とがある。

②下顎模型

下唇小帯、オトガイ筋起始部、頬小帯、外斜線レトロモラーパッド、舌小帯、顎舌骨筋線

外斜線(external oblique ridge):下顎骨筋突起前縁から下方へ走り、臼後三角の頰側を通り、下顎体の臼歯部外面に移行する骨の隆線、内斜線とともに臼歯部義歯床縁の位置を設定する際に解剖学的指標として用いられる。

レトロモラーパッド:下顎最後方大臼歯のすぐ後方に位置する臼後三角上で、顎堤遠心端に相当する位置に存在する、粘液腺(臼後腺)を含んだ軟組織からなる洋ナシ状の隆起。無歯顎になっても形態的変化が少ないため、下顎義歯床後縁の設定ならびに仮想咬合平面の後方基準として利用される。