歯内療法

1)歯内療法(神経の治療)における診断のポイント

夜間における痛みの激しさ、誘発痛か自発痛か、痛みが持続するかどうかが診断のポイントとなります。つまり、A線維の痛み(象牙質)かC線維の痛み(歯髄)かの診断です。
 

夜間の痛み 高橋ひろし歯科医院

 歯髄炎が発症した場合、問診は主として痛みについてお聞きすることになります。痛みについてよくわかっているのは患者さん自身であり、個人的な感覚である痛みを客観的に測ることは難しいといえます。患者さんの痛みを正しく理解し、早急に最も良い方法で解決していくため、痛みに関する問診はたいへん重要になります。
 どのような時に痛むのか、どのような痛みか、痛みの強さ、痛むタイミング、いつも痛いのか、夜間眠れないほどの痛みか、いつから痛みが続いているのか、またその変化について、などが痛みに関する問診となります。

2)痛みと神経線維について

 神経線維はその伝達速度からA,B,C線維に分類されますが、痛みに最も重要な神経はC線維です。象牙質の痛みは「しみる」「ツーン」などと表現される、刺すような鋭い一過性の痛みです。この種の痛みは歯髄神経の中でも比較的伝達速度の速いAβ線維とAδ線維が伝えると考えられており、その受容器は歯髄・象牙質付近に分布しています。
 歯髄の痛みは、灼けつくような「ズキズキ」「ジーン」というような、持続的あるいは一度生ずるとなかなか消えない痛みであることが多いです。おもに伝達速度の遅いC線維が関与し、その受容器は歯髄の中心部に分布します。

3)痛みと細菌感染について

 う蝕があり痛みがなくても歯髄への細菌感染が認められます。冷水痛を主症状とする可逆性歯髄疾患の約30%に嫌気性菌の感染が認められ、自発痛と温熱痛を主症状とする不可逆性歯髄疾患の約90%の症例で歯髄の感染があるという報告があります。症状がなくても、冷水痛程度であっても細菌感染が認められるのであるから、痛みを伴う場合はほとんどが歯髄に細菌感染が認められると考えられます。

4)口腔内診査におけるポイント

 打診痛は根尖周囲組織の炎症の存在を示す最も重要な臨床的指標です。歯髄に達しているような深いう蝕が確認され、打診反応があり、X線写真において根尖に透過像が認められれば、限りなく抜髄に近いと考えられます。また、患歯の根尖層頭部に指をあてて打診を行うと、患歯と健全歯の微妙な違いが触知できます。

5)X線診におけるポイント

 X線診では、根尖部の透過像や不透過像の有無がとても大事になります。歯髄の生死の判定や保存の可否について最も重要な情報となります。
 正常像や歯槽硬線が拡大しているだけの場合は、若年者ならば歯髄保存の可能性が高くなります。拡大した白線のなかに透過像が出現している場合や、歯根膜腔が拡大している場合は抜髄のX線像です。根尖の歯根膜のわずかな拡大や視界不明瞭な小さな透過像は根尖まで波及した不可逆性の歯髄炎の像です。境界の明瞭な透過像や大きな透過像の場合は、歯髄壊死に陥っていることが多いです。

6)抜髄の判定

 自発痛、打診痛、根尖部の透過像と重なれば、ほとんどの場合抜髄の適応症となります。